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思い通りになることと助かること(2024年10月)

 世の中には、自分の思うようにならないことがたくさんあります。自分一人の世界ではありませんから、それも仕方のないことでしょうが、それでも思うようになりたいものです。それを求めて信仰している人も多いのです。

 ところが、もっと長い目で見てみますと、今は自分の思うようになったけれども、そのために後々になって苦しみを味わうことになったり、反対に、自分の思うようにはならなかったが、そのお陰で後で幸福が訪れたりするというのも世の中です。つまり、思うようになることと、助かることは違うのです。

 この世で成ってきたことの一切は、天理に沿った必然の姿であることを悟ることが大切です。思うようにならないことも、すべてそう成るべき原因があって現れるわけですから、都合の良いことも悪いことも一切、大自然の計らいと考えねばなりません。

 これが分からなければ、本当の信仰は永遠にできません。自分にとって思うようにならない姿が現れた時、神様が本当に助かるための試練を与えてくださったと悟るのが、信仰の真の極意です。この試練に確かな心の置き所を知り、人生の歩みを変えられる人は、必ず運命が変わり、誠の幸福感が得られるのです。助かるとは、人生の意義を感じ、そのシナリオに沿って生きることを喜べることです。したがって、幸福感は心の持ち方で決まるものなのです。

 今日この世に生きるものすべては、昨日の姿と同じではありません。必ず変化しているのです。生命を与えられた一切のものは、この生命を続かせるため成長することを義務付けられています。そうでなければ、息絶えてしまうようにつくられているのです。人間は、霊長類の中でも一番の長寿ですが、体の成長は成人前にピークに達します。しかし、限りなく心が成長していくからこそ、身体はさらに成長していきます。成長のない心は、身体の老化を早めます。喜べる心は明日の生きる糧となり、明日を生きようとする心は必要なホルモンを分泌させ、生理を活性化させます。

 努力しようとする心、喜べる心を失った時、私たちは天の摂理によって生命の終わりが近いことを悟るでしょう。

 このように心というものは厄介なもので、波のない穏やかな環境では成長できません。努力と達成感が必ず必要です。自分の思うようにならない場面に出くわした時のほうが、自らが努力もし、かえってものの本質が見極められて、心が成長するものです。

 この世の一切の事象に無駄はありません。こう悟れるようになった時、助かるための門が開かれます。物や形が充足しても、心の価の源は別のところにあるのです。