「心すみきる」

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人生、思い通りにはならない、心通りになる?

 このパンフレットを読んでくださっている方々の中には「ひょっとして何かの宗教じゃないの?」と思っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「宗教とか信仰とか、大嫌い」「私には悩みなんかない」「今のままでじゅうぶん……」。このパンフレットを一番読んでほしいのは、じつはそんな皆さんなのです
 私も、いわゆる「宗教」は大嫌いです。
病気が治るようにお祈りしましょうとか、この神様を拝んだら家庭円満になるだの、子どもの非行がなくなるだの。
「そんなわけないだろ!」
ツッコミの一つも入れてみたくなるのです。もし、神仏にお願いして悩みごとが解決するなら、不幸に悩む人はいません。
あなた自身の生き方がこれまでと同じなら、つまりあなたの心に何かの変革が起こらないかぎり、いくら神仏にお願いしても、困難な状況は何ひとつ変わるわけがないのです。
 人生は私たちの思い通りにも、願い通りにもならない。私たちの心通りになる。つまり、どんな心づかいで暮らすかということが何より大事なのです。

たとえば、今六〇代になる伊藤咲子(仮名)さん。
咲子さんが私たちのところにはじめて来たのは、息子さんの相談のためでした。大学を出ても働かず、自室でパソコン相手に暮らしている。バイトをしても続かず、すぐやめてしまう。このまま一人前の社会人になれなかったら、この子の将来はどうなるのか。
当然、結婚などできません。子どもも持てない。今はまだ自分たち両親が元気だから気ままに暮らしていられる。けれど親はそのうち老いて死ぬ。そうなれば間違いなく社会の底辺に転がり落ち、貧乏のどん底でひとり苦しむことになるだろう。

勇気を奮い起こして飛び込んでみる

この悩みで、咲子さんがもんもんとしているとき、ひとりの友人が誘ってくれたのです。「息子さんのことを相談する良いところがあるよ。一緒に行かへん?」。
そのとき「ダメでもともとじゃないか。ためしに行ってみよう。」と思い切って行動したことが、のちにやってくる伊藤家の大きな助かりの第一歩となったのです。
勇気を奮い起こして飛び込んでみる、それをしなければ目の前の現実はいつまでも変わらないのです。

 私どものところには、さまざまな相談が持ち込まれます。体の病気はもちろん心の病気、経済的な問題や家族のもめごと。仕事上のトラブルや職場の人間関係でのつまづき。会社経営のアドバイスを求めてくる人もたくさんいます。(事例のいくつかは、実録『神の証』というドキュメントにまとめられているので、ぜひお読みください。巻末に本の紹介があります)
なかでも多いのは、子どもに関する相談です。
我が子の非行や反抗、家庭内暴力、なまけ、成績不良、不登校、いじめ。適齢期を過ぎても「結婚できない」、結婚しても「子宝に恵まれない」。そんな悩みが非常に多いのです。
とくに最近増えているのは咲子さんのように、二〇代三〇代になる子が定職につかず、働こうともしない「ニート」とか、自分の部屋・家から出ようとしない「ひきこもり」、またゲームやギャンブル、風俗にハマっているといった類の相談です。
皆さんのなかにも、似たような悩みを抱えている人がいるのではないでしょうか。でも、どうか安心してください。「子どもの問題」は、私ども「おみち」の得意分野です。

何事も、そうなるだけの原因がある

咲子さんの家は、役所に勤めるご主人と成績優秀な息子さんのK君、それに娘さんの家族4人です。経済的にも恵まれたこの一家の平穏な暮らしに、ある日突然、暗い影が生じます。
中学3年のK君が、実際にはそんなことは少しもないのに、「自分は体臭がひどい。学校へ行きたくない」と突然言い出したのです。
事態はだんだん深刻になります。それまで快活で明るく、クラスの人気者であり、リーダーでもあった息子さんが、すっかり変わってしまいました。
「学校へ行こうとしません。毎朝私が、時間表に合わせて持ち物の用意をし、無理やり送り出す。そんなことで、どうにか中学・高校は卒業させました」と咲子さん。
少しでも長く息子のそばにいてやろうと、咲子さんはそれまでの勤めを辞めて、自宅に趣味の教室を開きました。
しかしどんな不幸もそうなるには、そうなるだけの原因があります。K君のような自己臭症は、実際にひどい臭いがするわけではありません。いわゆる心の病です。
子どもが心の病気などになったら、まず何より先に、家族のあり方に間違いはなかっただろうかと疑うべきなのです。子どもの心は、その家族の中で育まれてきたのですから。
息子のためを思うなら、踊りやお花の趣味は二の次にして、何がいけなかったのだろうと、自らを反省するべきだったのです。

子供の生きる力を奪っていませんか?

この学校嫌いのK君が、どういうわけか大学へ進学します。
けれどせっかく入学した大学を、1年も終えずに勝手に退学します。もしそのとき、「好き勝手したいなら、これからは自分の力で生きてゆきなさい。」とでも叱りつけていたら、その後の展開も違ったものになったでしょう。
けれど最近の親をみていると、自分の気分や都合で「怒る」ことや、「腹を立てる」ことはできても、子どものために「叱る」という、親の一番大切な役目を果たせない人がとても多いのです。
K君のお父さんは違います。厳しく向き合おうとしました。ただ、お母さんがそれに反対。結局、父親の思いを無視して、息子のわがままを許すことになったのです。両親が互いを尊重し、心を一つにして我が子に向き合うべきときに、それができなかったのです。
勝手に退学した息子を浪人させ、再度の受験を許す。入り直した大学を5年かけて、やっと卒業しました。
「一度いやだと思ったら、ガマンがきかない。好き勝手ばかりしてきた息子です。」と咲子さん。けれどそんな息子の勝手を許してきたのは彼女自身です。
 親とは、なんとありがたいものでしょう。でも、そのありがたさが子どもを甘やかし、たくましく生きる力まで奪ってしまうのです。
 こういう若者が就職し、きちんと仕事を続けられるわけがありません。世間は、咲子さんのような過保護ではないのです。
決して他人事ではありませんよ。皆さんのなかにもいるのではないでしょうか。なかなか就職できない、まともな仕事が見つからない、転職ばかりしている、ブラック企業で苦労している。それは、出身校の偏差値のせいでも、面接テクニックの問題でもありません。ましてや景気のせいなどではないのです。
本人にそれだけ生きる力(私たちは、その生きる力のことを「徳」と呼びます。)がないのです。
 このままでは咲子さんの心配通りです。社会人として一人前になれず、将来は貧しさと孤独に苦しむことになるでしょう。
どうしてこんなことになってしまうのでしょうか。
その答えはじつに簡単です。

すべての助かりは、この気付きから始まる

 子どもの問題は、①親が自分の役割をしっかり果していて、②夫婦が心を一つにして、③子どもに好き勝手や気ままをさせなければ、そうめったに起きないものなのです。
 したがって、もしあなたのお子さんに何か問題があるとしたら、それは他の誰かのせいではなく、あなた自身の心づかいによる可能性があります。
けれど、そのことを知る親御さんが、いかに少ないことか。たいていは、自分以外の誰かのせいにしています。学校が、先生が、友だちが、会社が、上司が悪い。子育てに非協力的な夫がいけない、妻がもっと厳しく躾ていたら――。
我が子が道を外れてこんなに苦しんでいるのに、まだ「自分は悪くない」「自分のせいではない」と考えたいのです。自分は正しい、自分だけは間違っていないと思いたい。自分というものはそれほどかわいいのです。助かりの第一歩は、そういう思いをなくそうとすることです。
「もしかしたら私のせいでしょうか」。
時間はずいぶんかかりましたが、咲子さんの口からやっとその言葉が出ました。助かりはすべて、その気付きからやって来ます。私たちもみんなで咲子さん一家を応援しました。息子さんのK君に変化の兆しが見えるようになったのも、ちょうどその頃です。
 あれから十数年。K君は驚くほどたくましくなりました。ニートだった二〇代とは別人のように、表情も明るくなり生き生きとした好青年です。仕事で鍛えた筋肉も隆々。上司に信頼され、職場の仲間にも頼られる存在になっています。
 K君を精神面で支えたのは、私たち「おみち」の仲間です。でも、そこでがんばって、努力し、一人前に成長したのはK君自身です。もうどこに出しても恥ずかしくない立派な男です。
 咲子さんにとってさらに大きな喜びは、K君が可愛いお嫁さんをもらい、同居までしてくれたことでしょう。
お嫁さんも一緒に「おみち」に来ます。息子さんのことはもちろん、自分たち両親のことも、心から大切にしてくれると大喜びです。結婚後に不妊・流産というハードルはありましたが、それを二人で乗り越えて、念願の丈夫な孫まで産んでくれました。
そのお孫さんが、今年で7歳になります。
それまでには、むろんいろいろなことがありました。笑ってしまうことや涙が出るほど面白いこと、もちろん辛いことや苦しいこともあったでしょう。
けれど、それらすべてを「よっしゃ!」と真正面から受け止め、みんなで助け合いながら、明るく、前向きに暮らす。これこそ私たちの目指す理想なのです。

幸せになるちょっとしたコツ

最後に咲子さんの言葉を紹介しましょう。
「孫をまんなかに息子夫婦と私たち夫婦。笑いが絶えない我が家です。あの頃、こんな日が来るとは想像すらできませんでした。夢のようです。『おみち』とつながらなければ、こんな幸せはぜったいになかった。ほんとうに感謝でいっぱいです。」
 それではここで、幸せになるちょっとしたコツを伝授しましょう。
・自分本位な勝手気ままを捨てる
・相手を尊重し、喜ばせることを自分の喜びとする
 これだけです。これさえできれば、必ず幸せになれます。 
しかしこのちょっとしたコツも、あなたひとりで実践するのは難しいでしょう。だからこそみんなで「おみち」に集い、助け合いながら、このコツを実践して確実に幸せになっていくのです。徳がそなわり、幸せの器が大きくなる。その結果、難しい病気まで治るような「奇跡」を目の当たりにすることさえ珍しくないのです。
そんな「奇跡」のドキュメントを「神の証」「神の証Ⅱ」「神の証Ⅲ」として三冊の本にまとめました。
ぜひ一度手に取って読んでみませんか?あなたの悩みを解決するヒントがきっと見つかるはずです。